
こうしたことが起こる背景には、歯周治療が長らく抱えてきた、ひとつの根本的な問題があります。
歯ぐきの奥は、肉眼では見えないのです。
尾崎デンタルクリニックでは、歯ぐきの奥に小型カメラを入れ、モニターで確認しながら治療を行う「歯周内視鏡(グローリースコープ)」を導入しました。これまで手の感覚に頼るしかなかった部分を、目で見て確かめられるようになります。

歯周内視鏡とは、直径1.2mmの極細カメラを歯周ポケットの中に挿入し、歯ぐきの内側の様子をモニターに映し出す医療機器です。
歯周ポケットの奥にこびりついた歯石や、歯の根の表面の状態を、水で洗い流しながらリアルタイムで観察できます。治療する側も、患者様ご自身も、同じ画面を見ながら進めることができます。
当院が導入しているのは「グローリースコープ」という機器です。
| 販売名 | グローリースコープ |
|---|---|
| 一般的名称 | 歯科用口腔内カメラ |
| 医療機器届出番号 | 13B1X10394250001 |
| カメラ挿入部の直径 | 1.2mm |
| 有効長 | 330mm |
| カメラを覆うシース | 滅菌済み・使い捨て(患者様ごとに交換) |

歯周病の基本的な治療は、歯周ポケットの奥に入り込んだ歯石や細菌のかたまりを取り除くことです。これを「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」と呼びます。
しかしこの処置は、歯ぐきに覆われた見えない場所を、器具の先に伝わるわずかな感触だけを頼りに行われます。熟練した術者ほど精度は上がりますが、それでも「本当に取りきれたか」を目で確かめる手段はありませんでした。
取り残した歯石は、細菌の温床としてそこに残り続けます。歯周病がなかなか改善しない、あるいは一度落ち着いてもぶり返す。その原因のひとつが、ここにあります。

確実に見て取り除くために行われてきたのが、歯ぐきを切開してめくり、直接目で見ながら清掃する「歯周外科手術(フラップ手術)」です。
視野が得られる確実な方法である一方、外科処置ですからお身体への負担があり、腫れや痛みを伴うこともあります。手術を勧められて足が遠のいてしまう方が少なくないのも、無理のないことだと考えています。
歯周内視鏡は、この2つの間にある方法です。歯ぐきを切開せずに、カメラを歯周ポケットの中へ入れて内部を確認します。
見えるようになることで変わるのは、「取り残しにくくなる」ことだけではありません。そもそも、そこに何があるのかが分かるということです。
| 従来のSRP | 歯周外科手術 | 歯周内視鏡を用いた処置 | |
|---|---|---|---|
| 歯ぐきの中の視認 | できない(手の感覚) | できる(切開して直視) | できる(モニターで確認) |
| 歯ぐきの切開 | なし | あり | なし |
| 治療内容の記録 | 難しい | 難しい | 静止画・動画で記録可能 |
| 患者様への説明 | 言葉と模型が中心 | 言葉と模型が中心 | 実際の画像を一緒に確認 |
| 保険適用 | 一部保険適応 | あり | 自由診療 |
歯周内科的な処置と外科処置は、どちらが優れているというものではありません。歯を支える骨の状態によっては、外科処置や再生療法のほうが適していることもあります。内視鏡はあくまで「見るための道具」であり、すべての歯周外科に取って代わるものではないというのが、当院の考えです。
モニターに映し出される映像から、次のような情報を確認できる場合があります。
こうした所見は、レントゲンだけでは分からないことも多くあります。「なぜこの歯だけ治りにくいのか」という疑問に、根拠をもってお答えできる場面が増えました。
※観察のしやすさは部位や歯周ポケットの深さによって異なります。浅いポケットや器具が届きにくい部位では、十分な観察が難しい場合があります。
レントゲン撮影、歯周ポケットの測定、お口の中の写真撮影などを行い、歯周病の進行状態を把握します。その上で、歯周内視鏡を用いることでどのような利点があるか、どの部位に適しているかをご説明します。
まずは保険診療の範囲で、歯みがき指導と通常の歯石除去を行います。歯ぐきの炎症がある程度落ち着いていたほうが、内視鏡での観察は安定します。いきなり内視鏡から始めるわけではありません。
必要に応じて麻酔を行い、カメラを歯周ポケットに挿入します。水で洗い流しながらモニターで確認し、超音波の器具や手用の器具で歯石を除去していきます。
処置中の映像は静止画・動画として記録できますので、その場で、あるいは次回の来院時に、一緒にご覧いただけます。
処置後、歯ぐきの状態が改善したかを再度検査します。必要であれば、歯周外科や再生療法といった次の選択肢についてご相談します。
歯周病は再発しやすい病気です。担当の歯科衛生士が継続的にお口の状態を見守ります。
一方で、次のような場合には適応が限られます。
診査の結果、内視鏡を使わないほうがよいと判断した場合は、その理由も含めて正直にお伝えします。

歯科の治療は、患者様から見えないところで進みます。口の中は自分では見えず、まして歯ぐきの奥となれば、何が行われているのか想像するしかありません。
私たちが歯周内視鏡に価値を感じているのは、取り残しを減らせるという技術的な理由だけではありません。患者様と同じ画面を見て、「ここに歯石が残っています」「ここは、きれいになりました」と一緒に確認できること。その積み重ねが、ご自身の口に向き合う気持ちにつながっていくと考えているからです。
「治す」ことより「予防」を。歯の土台である歯ぐき(歯周組織)を最大限に守る。当院が開院以来大切にしてきたこの考え方を、もう一歩前に進めるための道具として、この機器を導入しました。

歯科医師 尾崎 聡
(おざき さとし)
歯周病は、日本人が歯を失う原因の第1位です。そして糖尿病や心疾患など、全身の健康とも深く関わることが分かってきています。
歯周病の治療に終わりはなく、患者様と長くお付き合いしていく医療です。だからこそ、その時々で最善と考えられる方法を、根拠とともにご提案したいと考えています。歯周内視鏡は、そのための選択肢のひとつです。
当院には日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士が在籍しています。歯科医師と歯科衛生士が連携し、チームで歯周治療にあたります。
| 費用(税込み) | 1時間:22,000円 (1時間で概ね2、3本処置します) |
|---|---|
| 治療期間 | 約2週間〜3週間 |
| 治療回数 | 2回〜3回 |
治療を始める前に、必要な回数と総額をお見積りとしてお示しします。ご納得いただいてから開始しますので、ご不明な点は遠慮なくお尋ねください。
歯周内視鏡を用いた処置には、次のようなリスク・副作用があります。
これらについては、治療前のご説明の際に改めて詳しくお伝えします。
痛みはありますか?
歯ぐきの奥を触る処置ですので、状態に応じて局所麻酔を行います。歯ぐきを切開しないため、外科手術と比べてお身体への負担は少なくなりますが、痛みをまったく感じないとお約束するものではありません。痛みが不安な方は、事前にお申し出ください。
保険は使えますか?
歯周内視鏡を用いた処置は自由診療です。ただし、その前段階の検査や基本的な歯石除去は保険診療の範囲で行える場合があります。詳しくは診査の上でご説明します。
治療は何回くらいかかりますか?
歯周ポケットの深さや対象となる歯の本数によって異なります。診査の後に、必要な回数の目安をお伝えします。
歯ぐきを切らずに済みますか?
内視鏡での処置により外科処置を回避できる場合がありますが、すべての症例で不要になるわけではありません。歯を支える骨が大きく失われている場合などは、外科処置や再生療法のほうが適していると判断することがあります。診査の結果に基づき、正直にご提案します。
カメラは他の患者にも使ったものですか?
カメラを覆うシース(保護チューブ)は滅菌済みの使い捨て製品で、患者様ごとに新しいものに交換します。歯ぐきに挿入する器具は、使用のたびに洗浄・滅菌しています。
撮影した画像はもらえますか?
処置中の画像・動画は記録できます。ご希望があればご説明の際にお見せしますので、お申し付けください。
他院で治療中ですが、相談だけでも可能ですか?
はい。現在の状況をお伺いした上で、当院でできること・できないことを率直にお話しします。まずはご相談ください。
歯周病は、痛みが出たときにはかなり進行していることの多い病気です。「もう手遅れかもしれない」と思っていた歯が、まだ残せることもあります。
まずは、お口の中で今なにが起きているのかを、一緒に見るところから始めませんか。
当院で使用している歯周内視鏡「グローリースコープ」は、医薬品医療機器等法に基づく届出がなされた一般医療機器です(医療機器届出番号:13B1X10394250001)。製造販売業者:株式会社モリムラ。
歯についてのお悩み、
お困り事があればいつでもご連絡ください。
当院には、あなたのお悩みに
応える知識と経験がございます。